『僕とボビーと秘密の店と』~Me and Bobby by the Antique Shop~キャンバス・ジクレー31.8*41.0cmイギリス、ロンドン近郊の住宅街の一角で、今は盛りと咲きこぼれる藤の花の見事な家並みをスケッチしようとしていた時だった。ふと、目の端を動くものに気づいて目をやれば、首輪はあれどもリードも付けず、散歩中らしい小さな犬が、通りをひとりスタスタと歩いてゆく。あまりに飄々とした足取りと可愛らしい姿に惹かれ、少しだけその後をついて歩いてみた。自分より大きな犬に出くわしても、何食わぬ顔で通り過ぎ、小さな子供に駆け寄られても、目もくれずに進んでゆく。その足取りは、決まったコースをパトロールしているかのように堂々たるもので、何とも微笑ましい光景だったのだが・・・休憩なのか、突然、通りの片隅にペタリと座り込んだ。そろりそろりと後ろから近寄ると、気配に気づいたのか、クルリと振り返った―――その目の表情が、昔飼っていた犬にあまりにも似ていて、嬉しいような、切ないような、懐かしいような・・・何とも言えない気持ちになった。そして、「これ」を絵で表現したいと思った。更に、描き始めてもいないのに、絵の題名が自然に浮かんできた。主人公は、勿論この犬。名前はボビー。背景は、先ほどスケッチしようとしていた、ピースフルな家並み。実際には一般の住宅だったが、散歩の途中でつい立ち寄りたくなるような、とっておきのアンティークショップに変えて・・・"題名"から絵の発想が浮かんでくるという、珍しいケースの作品となった。家で飾っておりました。小さな子もおりませんので、触らず綺麗に飾られていてと思います。とても可愛いく綺麗な絵です。断捨離のため出品いたします。#笹倉鉄平